2011年10月28日

「快眠コンソーシアム」の市民講座

旧暦十月二日 丙辰(ひのえたつ)

 十日あまり前だったか、「快眠コンソーシアム」という団体が市民講座を開催、テーマは「日本人の生活の中の睡眠 −『源氏物語』の眠りから現代人の眠りまで−」というので袖を引かれた。会場も近くのホテル。
 コンソーシアム、という言葉もかなり広まってきたのだろう、昔だったら「快眠推進協会」とか、「快眠環境振興会」なんて名前をつけていたところかもしれませんね。

 コンソーシアム、という言葉自体は、ずいぶん昔になるが、日本総研の取材で若手スタッフから聞いて初めて知った。まだ走りの頃。お恥ずかしながら、青二才としては、そんなしゃれた言葉は初耳で、「すみません、コンソーシアムっていうのは…?」と訊ねたものだった。
 未だちゃんとした定義はよくわからないが、なんとなく、共同体とか共同作業をする集団組織、みたいにとらえている。響きがいい言葉ですよね。
 やっているみなさんも、おそらく適当な解釈でしょう。(笑)
 だいたい、広告業界でも、コンセプト、とか、ハウスオーガン、だとか、フライヤー、だとか、タグライン、だとか、次々と専門用語を新しくして「クライアント」を煙に巻くことばかり考えてきたけれど、産業界も同じで、要はアメリカのお尻を追いかけているだけである。
 常に「新しいことしてますよ」という姿勢をみせておくために、てっとりばやい方法なのだろう。みんな、よーく見ると、中身は古いまま。というか、ヒトのやること、そんなに変わるものではないし、別に新しがる必要もないと思うのだけれど。

 それはさておき、せっかく、おおいに関心をもった「『源氏物語』の眠り」についての話を聴けなかった。用事ができて、会場に入ったのが、ちょうどその講演とパネルディスカッションの終わったところでした。(溜息)
 でもまあ、「はんそく」通信としましては(笑)、そのあとの「企業プレゼンテーション」にはまた別に興味があったので、それはそれで参考になりました。
 参加企業のプレゼンテーションは、
    株式会社イワタ「寝床内の温・湿度と快眠」
    エスエス製薬株式会社「一時的な不眠と睡眠改善薬」
    グンゼ株式会社「パジャマと快眠」
    太陽化学株式会社「緑茶成分と快眠」
    パラマウントベッド株式会社「快眠を得るためのベッドの選び方」
    ロフテー株式会社「睡眠時の枕の役割」
    ハイアットリージェンシー京都「心身一如パッケージ」
というラインナップ。

 200人ほどの会場でパソコンからプロジェクターに映し出して、パワーポイントでしょうね、スライドショーに合わせて、各社の担当者が解説をしていくのだけれど、こうやって、次々と10分ほどの持ち時間でアピールするのを聴かせてもらうと、つくづく、「しゃべり」というのは、個人の技能によるところが大きいと感じる。
 1社だけ女性で期待したけれど、いちばん堅くて棒読みで、わかりにくくてつまらなかった。緊張していたのだろうな。
 慣れている人は、すぐわかる。余裕があるのですね。おそらく、その企業が、そういうアピールというか、啓蒙活動というか、そういうことを常にやっているのでしょう。

 もっとも、全体に、スライドは「見づらかった」。
 おそらく、実際の会場で、事前に投影して、後ろの席からどんなふうに見えるか、なんていう検証はしていないだろうし、このために新たにつくったものではなくて、ふだん、会議室かなんかの近い距離で見せる映像としてつくったか、あるいはペーパーの資料をそのまま画像に落とし込んだか、というところでしょう。
 ぜんぜん見えないデータなんかは、画面に入れないほうが、むしろいい。
 こういう「プレゼンテーション」は、まあ、どこでもよくある。

 商品の良さを説得するために、苦労して、いろいろと研究し、データを積み重ねてきているものの、わかりやすく見せられないと、そこでは、すべてが意味を失うのと同じだからもったいない。
 それは、会場の後ろの壁に沿ってしつらえられた、各社の簡単な展示スペースでも同じことだった。
 商品や構造見本のようなものを置いて、背後に説明パネルを設置して見せる、という、よくあるパターンだが、こんな小さい文字、そばに寄ってみないと読めないだろう、というものが何社もあった。
 展示会なんかでもそうだけれど、人が多いときなど、前に立ったままで詳細な内容を読む、なんていうのは、疲れるし、人の流れが滞るし、好ましいことではない。
 パッ、と見てアピールできるように、商品の「キモ」だけみせて、あとの詳しい説明は、手元でゆっくり読めるように、コピーした資料を置いておけばいいのである。

 プレゼンテーションの一番最後には、会場となったホテルが、快眠できる宿泊? 的なプランを紹介したが、「ブレックファストには、これこれこのような食事をご用意いたしまして…」なんていう説明をしても、その一例をスライドで見せることもせずにいては、誰も、そりゃいいな、なんて思うわけがないだろう。

 単色A4四頁のプログラムには、本日のお題として、先にご紹介したように「日本人の生活の中の睡眠」とあり、副題に「−『源氏物語』の眠りから現代人の眠りまで−」と記されていたが、ここで、ちゃんと『源氏物語』をひとつの著作として、「 」(かぎかっこ)ではなく、『 』(二重かぎかっこ)で記しているところが、なんでもないことなのだけれど、一応ちゃんとしてるじゃん(笑)、と思わされて好ましかった。
 こういうセオリーは、意外と粗末にされていて、近頃の印刷所はただのプリント機械みたいになっているから、素人さんの発注を受けると、奥付のない書籍や雑誌を平気でつくる。まあ、そんなことは古いスタイルで、どうでもいいことだ、と言われればそれまでなのですけれど。(笑)

 こういった、表現上のあれこれを言っていても、重箱の隅と言われるかもしれません。
 各社のプレゼンテーションでは、同時に本日のご来場プレゼント、というのが行なわれて、6社10名ずつだから、来場者の3人に1人くらいの割合で、プログラムの記述で見ると3500円〜10000円くらいの商品が当たる、というものだった。
 これを、事前に公表していなかったのは、正解ですね。大盤振舞、というほどではないかもしれないが、なんで、こんなサービスをするのか、目的がよくわからない。
 かつて大修館書店が開いた講演会で、事前に同社の辞書だかを来場者全員に贈呈する、と告知していたことがあったが、テーマに興味があっても、お土産をちらつかせられると、なんとなく、それを目当てに行くと思われそうで、ちょっと迷ったものだった。案の定、その時の講師のお一人、中西進センセイは、「今日は私の講演を聴いていただくとおみやげがでるそうで」といったような嫌味をひとくさり言われて(目当てはほかの講師だったが)、聴講者としても気分が悪かったのを覚えている。

 住宅展示場のイベント集客のような場合なら、景品をエサに人を集めるのは効果的かもしれないが、こういった、知的関心を核としてのコミュニケーションイベントを持つときには、そのあたりの来場者の心理にも配慮する必要があるだろう。
 というより、基本的には、どういう人を呼びたいのか、である。
 つまりは、その人たちに何を期待するのか、基本はどこかで販促につながらないといけないわけだから、来てほしい人を呼ぶ、というのは、まず大事なことのはずである。

 企業の利益から、なにがしかを削って、どういうことをするのか。
 社会貢献活動、というならそれでいいけれど、企業が潰れてはできないし、一部の人たちにだけ貢献しても意味がない。それがあまねく、社会に広がり、役に立つものでなければ「貢献」と言えないだろう。
 かつて、日本たばこが民営化された前後だったか、「アフィニス・クラブ」という会員組織をつくり、煙草愛好家に、それこそ大盤振舞をした時期があった。加入は無料で、年に何回か面白い小冊子が定期的に届き、小型だが分厚い別冊やノベルティもたびたび送ってきた。かつての専売公社系の宿泊施設にも格安で泊まれた。きわめつけは、年に一回だったか、各地のホテルでパーティがあり、申し込みは先着順だったかもしれないが、参加は無料で、タレントさんがきて歌や講演、料理は食べ放題、煙草は吸い放題(笑・こちらはそのころ、すでに禁煙していましたが)、帰りには立派なカレンダーやちょっとしたグッズかなにか、お土産かついている、という贅沢なものだった。そうそう、コンパニオンがおおぜい来てサービスしていましたね。

 こんなことを言うと、みずからの仕事の一部に唾するように思われるかもしれないけれど、要は、役に立つコストをかけなさい、ということですね。
 バブルの頃、湯水のように経費を垂れ流した反省が、今日に至ってただのコストカットではなんの意味もなさない。
 さまざまな現場で、社員が一所懸命、汗水垂らして稼いだお金を、どんなふうに現在と未来のためにつかうのか、という、まさに「コンセプト」がしっかりしていなければ、ただのケチになるか、お坊っちゃま商売になるか、なんの将来像も描いていないわけである。
 政府も一緒ですね。

 というわけで、「快眠コンソーシアム」は、ずっと品もあり、みなさん努力されていて、なんとなく理想に向けて一緒にやっていけば事業の未来もより開けるかもしれない、という期待で集まっておいでであることはわかるのですが、コーディネイトが強力でないということもあるのでしょうね。どうも漠然としていて、こんなに愛想ふりまくだけでいいの? と思ってしまったのでした。

 聴講申し込みに問い合わせたときも、電話で名字を言うだけでOK。個人情報に気をつかっているのでしょうか。IT各社なんか、ウェブ上で申し込みや登録というときには、徹底的に、それこそ、個人情報を訊いてくる。それも一方通行。やっていて腹が立つくらいだ。
 コンソーシアムさんは、その点、おおらか。
 だけど、相手の情報を集めなくて、どうやって、活動の効果を分析するのだろう。次の案内も出せない。必要はないのかな、と、よけいなお世話ながら思ってしまう。

 こちらの勝手ではあるけれど、遅れて行って聴けなかった、肝心の講演の内容が、ひょっとしてもう、ホームページにアップされていて、そこでも読むことができる、なんてことはないかな、と思って、みてみたら、まだ、この市民講座の告知が載っていて、「参加受付は終了しました。」とあった。
   
posted by Office KONDO at 08:50| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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