2009年05月05日

「こどもの日」と「母の日」を、ひとつに。

旧暦四月十一日 庚戌(かのえいぬ) 立夏

 ♪ い〜ら〜か〜の、なあみいに〜、くうもお〜の〜な〜み〜♪
 なんて、今どきの子どもたちは歌っているのかなあ。
 大きなこいのぼりは、都会では、なかなか泳がせられなくなりましたね。
 今日は端午の節供、そして、こよみの上では立夏。

 端午の節供の「端午」とは、もともと、その月の初めの午(うま)の日、ということだったらしい。「端」には「初め」という意味がある。
 「午」の音が「ゴ」で「五」に通じた。五月五日は五が重なる節日なので「重五」とも呼ぶ。

 こういった話の説明がされている文献に、必ず出てくるのが『荊楚歳時記』という中国の古典。(ちなみに、ワープロやネットでは、この「荊」の字しか出ませんが、これは俗字で、正確ではありません。)
 かの国の年中行事や歳時記の原典みたいな書物らしいが、これによる(平凡社・東洋文庫版)と、

 五月は俗に悪月と称し、禁多し。牀(しょう 寝台)の薦席(しとね)を曝(さら)すを忌み、及び屋を蓋(おお)うを忌む。
とある。
 えっ、五月は、時季が悪いんだ!?

 気候のいいときだから、五月晴れのこどもの日、なんだと思っていたけれど…。
 だけど、よく考えると、もともと旧暦の五月五日。これを今年の新暦でみると、5月28日。今年は「閏五月」という閏月(うるうづき)が入るから、まだ5月のうちだけれど、去年の旧暦五月五日は、新暦の6月8日。来年では6月16日。
 日本なら、ちょっと梅雨めいてきて、じめじめ、体調もくずしやすい、という感じかもしれない。「荊楚」というのは中国の長江中流域で、今の湖北省、湖南省あたりだというから、このあたりの気候で、新暦6月頃というのが、「悪月」なのだろうか。

 とにかく、なににつけ、時候も環境も、ついつい、今、自分のいるところで考えてしまいやすい。
 続いて、

 五月五日、之を浴蘭節と謂う。四民並びにトウ百草の戯あり。艾(よもぎ)を採りて以て人を為り、門戸の上に懸け、以て毒気を禳(はら)う。菖蒲を以て、或いは鏤(きざ)み或いは屑(こな)とし以て酒に泛(うか)ぶ。
 (トウ百草のトウの字が出ませんが、足へんで右側は日の下に羽です)
とある。
 浴蘭節の浴蘭というのは、なんとなく、菖蒲湯に通じそうだし、「トウ百草」は「踏百草」「闘百草」と置き換えてあって、草摘みを競ったり、草の上で遊興したり、ということらしく、正月の若菜摘みやなんかとも、通じるものがある。
 ちょっと、くどくなってしまうけれど、さらに、

 是の日、競渡(きょうと)し、雑薬を採る。
と続く。
 草摘みは、薬草を摘むことでもあったのだろう。
 端午の節供は、日本にも早くから入ってきていて、『日本書紀』に「薬猟」と記述があるのは、こういう行事だそうだ。

 「競渡」というのは小舟で競争するボートレースらしい。
 競馬(くらべうま)とか、相撲や力競べとか、あるいは根合わせや虫合わせ、絵合わせといった、のちには純粋に遊びになる行事も、もともと邪気祓いや神事として出てくるのは、何か、競う、というところにエネルギーを感じるからだろうか。

 今では、あまり「忌み日」だとか「厄祓い」といったような言い方はしないけれど、医学も科学も確立されていなかった古代、香気の強い菖蒲を軒に挿したり、薬玉を吊したり、よもぎで飾り物をつくったり、というしきたりは、邪気を祓い健康を保つという、重要な意味を持っていたのでしょう。
 「菖蒲」を「尚武」なんて、かけことばにして、男の子の節供にしたのは、新しい。これは、武家の発想ですね。

 「こどもの日」に制定されたのは1948年。団塊の世代が次々と産み落とされて、日本の人口が急増した頃。
 国民の祝日に関する法律・第二条では「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」ことを趣旨としている。

 そうか。この日は「母に感謝する」日でもあるのだ。
 だったら、すぐあとにやってくる母の日もまとめて、この日を、「こどもと母の日」にしたらいいのではないかしら。

 小さなこどもが、ベランダに閉め出されて凍死しかけたり、せっかんで殺されて冷蔵庫に詰められたり、なんていう信じがたい話ばかり聞くと、今や社会は、「こども」と「母親」が、本来のつながりをふつうに持てなくなったのだろうかと考えてしまう。
 野生動物は、ふつう、こどもが成長して独り立ちしたら、突き放してしまって、まさに他人になってしまうけれど、こどもが幼い間は、無条件に命をかけて護る。
 人間だけが、それができないようである。

 アメリカ流の「母の日」にのせられているより、「母と子のつながりをちゃんと考える日」で、ひとつにしたほうが、ずっと意味がありそうに思うなあ。
 まあ、母の日という、百貨店さんの絶好の季節商戦は薄れるけれど、逆に新しいスタイルのプロモーションができるのではないでしょうか。
   
posted by Office KONDO at 02:45| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
久しぶりの書き込みですね♪
待ちわびておりました。
今回は、前半に読めない文字ばかりで文章が掴みにくかったのっですが(笑)、結論の「母と子のつながりをちゃんと考える日」というのは新しい着眼点で、とても共感を覚えました。
個々の生活においても、商業的にも、とても効果的な発想のように感じます。
これからもまた楽しみにしておりますね。

Posted by TOMBO at 2013年05月07日 02:44
TOMBOさん、コメントありがとうございます。
そんなふうに言っていただくと、とても嬉しいです。
マーケティングにしても販売促進にしても、商業活動は、もう、ただ売れたらいい、という時代ではなくなったと思います。買い手、受け手にとって、どこかに納得が欲しいですよね。企業にも、これから、ちゃんとした思想が求められていくだろうという気がします。

ところで、この記事は2009年の記事で、最新の書き込みではないのですが・・・
いちばん新しい記事は、上のブログタイトル「京都はんそく通信」もしくは、右側カレンダー下の「最近の記事」のいちばん上の項目をクリックしていただくと出ます。
いずれにしても、八ヶ月ぶりの書き込みだったので、お恥ずかしいかぎりですが・・・(汗)
これからまた、ピッチをあげるようにしていきますので、よろしくお願いします。
Posted by はんそく通信子 at 2013年06月09日 16:44
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